かになべ

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サウナ・水風呂の温冷交互浴による「ととのい」の作成方法に関する私見

コロナ禍に伴う外出自粛によってサウナ施設を利用できない日々が続いています*1。この機会に自宅での温冷交互浴でのよりよい「ととのい」を模索するべく、自分がサウナ入浴時に気をつけている事項やルーティーンを記録しておくことにしました。

免責事項

! 生理的現象である以上、個人差の問題は免れません。「ととのい」は人によってはめまいに似た反応であることがわかりますが、私は体質的に日常生活でめまいをほぼ感じることがないことも、私が「ととのい」を快感と感じる一要因なのかもしれません。もし同じ身体現象が起こっても、あなたにそれが快感である保証はありません。
医者が教えるサウナの教科書 ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?とかもありますし、サウナによって老齢時の心筋梗塞リスクを低めるといった話はあるものの、基本的には苛烈な温度刺激によって身体反応を楽しむ娯楽です。後述しますが基本的に、より強い「ととのい」を作成するためには、より長い時間サウナおよび水風呂に入った方が良く、より強い快楽を得られます。もちろん個人差もあろうと思いますが、一般的には、サウナは10分前後、水風呂は3分ないし5分以内に止めることがリスクを低めるコツとされています。体調に違和感を感じたら休憩しましょう。私は、健康よりも快楽を優先していますし、サウナ浴によって健康になろうという方のための記事にはなっていません。


基本事項

以下は用語の整理です。
サウナ:気温又は遠赤外線によって人間の水分(≒血液)の温度を上昇せしめ、かつ高湿度により「体感温度」を上げる施設。交感神経側の刺激。
水風呂:サウナ又は温浴後に入ることにより、血液の温度又は深層体温を冷却するための施設。サウナと同じく交感神経側の刺激。
休憩:ととのうためにためには、サウナ→水風呂→ベンチで休憩というのが一般的なルーティーンである。副交感神経を優位にする。詳しくは「医学的根拠」に後述する。
水風呂トランス:水風呂に入って体温を冷やしたときに現れる、恍惚感に似た感覚。私感では、自分が落ちていくような感覚だったり、頭に冷たい氷の塊が現れるような感覚。ここではあえて「ととのい」と区分した。理由は後述によるが、私の感覚では、後の「ととのい」と地続きであり、水風呂トランスが深くなるほど、ととのいも深くなる(強くなる)と思っている。詳しくは「医学的根拠」に後述する。
ととのい:上述した「休憩」のタイミングに現れる深いリラックス(ディープリラックス)状態を指す。詳しくは「医学的根拠」に後述する。
サウナー:上述の感覚の虜となったサウナ愛好家のこと。サウナゾンビとも言う。


また、まだ初心者から「ととのう」を体感するに至るまでの解説については枚挙にいとまがありませんが、とりあえず最初は上記のルーティン(セッション)をリピートすることが最優先命題と思いますのでなんでもいいと思います。とりあえず最近観たこれを貼っておきます。

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私のルーティンと留意事項

以下、3つの要因(施設の要因、体調の要因、精神の要因)に分けて記入します。感覚的な記載になりますが、ここは一旦トラスト・ミー*2。私が最も重要視している項目に★をつけていきます。


施設の要因

人混みを避ける(★):人が多いと水風呂が温くなる、サウナの遠赤外線の放射を受けにくい、順番待ちが生じる等の直接的な要因もあるけど、やはりパーソナルスペースに他人がいると、ととのいにくい感覚がある(cf:精神の要因・他人を自覚しない)。施設のキャパシティから許容できるくらいの混雑時を選ぶのがマスト。
サウナの種類及び温度:前述した通り、苛烈な温度刺激により交感神経を刺激するためのもの。個人的には「熱けりゃ熱いほどいい」し、「熱けりゃなんでもいい」。ただサウナーの間ではこだわりポイントでもあるため、サウナイキタイ - 日本最大のサウナ検索サイトでもサウナの種類は真っ先に更新される。サウナの種類を知り、自分の好みを知って、より究極のととのいの作成を研究するのもまた一興かも。(参照:温浴施設いろいろ(サウナ編) - 湯活のススメ)感覚値としては、遠赤外線ヒーターやサウナストーンから遠赤外線が照射され、血液の温度を直接上げられるようなサウナの方が、その後の水風呂トランスが深くなる気がする。
水風呂の温度ほか(★):これは16度前後にしたいところであり、それは多くのサウナーに同意をもらえるところだと思う。医学的な根拠もある。ぬるすぎても冷えないし、冷たすぎても入ってられないので、深部体温(血液の温度?)まで冷やせない。また、個人的には深い方がいい(立って腰が自然と浸かるくらい)。水風呂の水流は議論の分かれるところであり、いわゆる「天使の羽衣」が必要なのかそうでないのか論もよく議論になるが、これに関しては私の中でも未だ統一見解が出せておらず、今後の研究が期待される。
ととのいスポットの有無(★):サウナ・水風呂後の休憩するために必要なベンチの有無。ベンチがない場合、浴槽のへりや洗い場の椅子等で休憩せざるを得ないが、マナー的にどうなのかとも思うので、休憩スポットが確保された施設を選ぶのがベターな選択。また、ととのいスポットがある=施設の運営者がサウナー心理を分かっている、ことでもあるため、この施設がどれくらいサウナー向けなのかを図るバロメータとしても使うことができる。
施設の清潔度・見た目とか:私はそこまで気にならないが、気になる人もいるよう。確かに外気浴する際のロケーションや、プールがある施設など、施設の建築・意匠自体を楽しめるのもサウナの魅力の一つでもある。

体調の要因(他の自分でコントロールできる要因も含む)

空腹時を避ける(★):感覚値として、空腹時はトランスが来にくいし、休憩時の体温の戻りも悪い。人によっては満腹時の方が集中できないとも言うので、人によるのかも。私は低血糖になりやすい体質なのか、空腹時の方が原因として効いてくるので、メシが食えないときは最低でも缶コーヒーを1本飲んでおく。
身体的な疲労ほか(★):疲れているほうがととのいやすい気がする。個人的には1日中デスクワークして、肩も腰もバッキバキの時に入る水風呂が一番気持ちいい。登山やランニングなどの運動の後に行くなどは健康的で良いし、筋肉から乳酸を落とす効果も期待できる。私はこの身体的・精神的な疲労を「サウナしろ」「サしろ」「ととのいしろ」と呼んで感覚値として持っていて、今サウナに行こうかどうしようかを判断する材料にしている。「サしろ」はサウナに行くと減る。自律神経の乱れ具合なのかも知れない。
酒(★):感覚値ではシラフの方が絶対にととのいやすい。ただサウナ飯がうまい。ビールが進むのもわかるので悩ましい。
薬物:カフェインがキマってる方がととのいやすい(気がする)。他にもいい感じの物質も確認しているのだが、ここでは言えない。
サウナ入浴時間:自分で見つけるしかない。私は「もう無理」と思うまで入った方がととのいが鋭くなる感覚値はあるものの、飽きて出ることもままあるのでまあ適当。湿度で体感が変わるため、参考文献4では脈が早くなるのを指標にすることが推奨されていた。
水風呂入浴時間:これも自分で見つけるしかない。長時間入るのは危険だが、長時間入った方が水風呂トランスが深い。感覚値では、水風呂トランスは段階的に非連続的に訪れる。初めからまあまあ気持ちいいけど、その後も入り続けると、「あ、もう1個きたな・・・」みたいな感覚になる。伝われ。第3段階まで行くと「俺は・・・水なのか?」みたいに、自分の身体の境界線がなくなっていくような感覚にとらわれる。このぐらいだと彼岸が見え出すのでオススメはできないが、気持ちいいので止められない。また医学的な根拠によると、脳内のTRP受容体を刺激しても得られるため、より首筋(脳に向かう太い血管)を冷やした方がよい可能性もある。水風呂ではあまりよくわからなかったが、自宅での冷水シャワー交替欲時は、確かに後頭部を冷やすとより強い感覚を作成することができた。

精神の要因

他人を自覚しない(★):前述したパーソナルスペースが確保されないとやはりととのいにくい。方法としては、耳栓だったり、タオルを顔にかける(濡れ頭巾スタイル)ことで、他人の存在を知覚しないことでも錯覚的に集中を呼ぶことができる。私はこの理由により、「しきじ滝の音説」を支持している。
あまり他のことを考えない:休憩中のこと。ある程度自分のマインドセットでととのいに持っていくことができる。瞑想では自分の呼吸に集中するというメソッドが使用される。それをやってもいいし、休憩時に自然と訪れる「感覚」に集中することでも、より瞑想に近い状態に持っていけ、強いととのいを作ることができる。
仕事他に疲れている(★):前述した通りだし、ドラマ「サ道」*3でも、お熱いのがお好き?でも、主人公がサウナに目覚めるきっかけは、少し悲しい出来事だった。思い返すと、私がサウナにハマった時も、彼女と別れた直後だったので、もしかしたら「もう人生どうなっていいや」感が、苛烈な温度刺激に耐えるモチベーションになっているのかも知れない。



【要約】
→めっちゃ疲れた時に、ちょっと軽く飯食って、16度前後の水風呂のある、空いてるサウナに行こう。


医学的な根拠などなど

  • 休憩:身体反応としては、サウナ・水風呂による交感神経による覚醒反応と同時に、それらとは逆に副交感神経によるリラックス効果(苛烈な刺激を終えた後に身体に訪れる休息の効果)が共存する状態となる。瞑想状態にも似る。(参考文献2による。)ここからは私見だが、リラックス状態にある体の状態や神経系の反応を、本来であれば覚醒した意識があまり体験することのない身体状態が自覚されることになり、奇妙な体験が実現されるのではないだろうか。
  • ととのい:人によって体験内容は様々だが、"私、地面、大気、すべてが無と帰して空間の中に魂だけがポカンと浮かんでいる" "天地と一体になる感覚"などなど。(参考文献1による。また「ととのい」を明文化した田中カツキ氏の著作も参考:マンガ サ道~マンガで読むサウナ道~(1) (モーニング KC))。参考文献2にもあるが瞑想と同じ状態になっていることが示唆され、確かに、ととのいを言語化した体験と様々な宗教体験の報告は似ている。
  • 水風呂トランス:参考文献3、4によるとTRP受容体を刺激することが感覚のトリガーになっており、16度前後で適切に感覚が呼び起こせる、とされる。(要は低体温症になりかけている?笑)。よく言われることだし、個人的な感覚としてもあるけど、性的なオーガズムの恍惚の感覚にも似ている。事実、参考文献2によれば、脳内ホルモンであるオキシトシンの発生が、温冷交代浴時にも動物(ネズミ)で発生する、という研究結果もある。


以上、参考になるかどうかはわかりませんが、皆様のサウナライフに幸多からんことを。また、サウナーのみなさんからのご意見をぜひお寄せください。

補足

しきじ滝の音説

後で書きます。


参考文献

参考文献1初めて水風呂に入ったら人前でイきそうになった|梶本時代 @uni_iga_iga
https://note.com/uni_iga_iga/n/nc66ca6721134

私の頭の中に静寂が訪れた。
私、地面、大気、すべてが無と帰して空間の中に魂だけがポカンと浮かんでいるようだ。
これは凄い。感情の強制シャットダウンだ。
私の魂はしばらく宇宙を漂い続けた。


参考文献2サウナーが言う「ととのう」ってどういう状態?「最強の温泉習慣」著者のドクターに聞いた|新R25(@shin_R25
https://r25.jp/article/604121758263537426?u=tp

医学用語ではありませんが、メディテーション、つまり「瞑想」あるいは「ランナーズハイ」の状態に近いかもしれません。
医学的には、脳内ホルモンが大きく変動するような生理学的変化が起こっている可能性があります。

ある実験で、動物をサウナ状態の中に入れると脳内セロトニンオキシトシンが大きく変動したことが解明されています。
脳内セロトニンは、人間の場合ですと座禅などの「瞑想状態」で上昇するとも言われています。
セロトニンって日光を浴びると増えると聞いたことがあるのですが、瞑想状態でも上昇するんですね。

オキシトシン」とはどんな物質ですか?
オキシトシンとは一般的に「幸せホルモン」と呼ばれているもので、脳科学者・中野信子先生の著書『シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感』(幻冬舎)によると、男性では射精の瞬間、女性では子宮頚部を刺激されると分泌されることが分かっているそうですよ。
高温のサウナ室や冷たい水風呂では、「ファイト・オア・フライト(闘争 or 逃走)」という緊張状態、つまり交感神経(※)が高ぶっている状態になります。
そこから休息のために通常の室温に戻ると、今度は副交感神経(※)が優位になり、オキシトシンセロトニンの分泌と副交感神経系の高まりがお互いに増強し合う状態になります。
それを「ととのっている」と感じるのかもしれません。

参考文献3 サウナで身体はこう変わる! サウナが健康に良い理由を医学的効能を用いて解明!!
https://getnavi.jp/life/87254/

人間の身体には、温度を感知するセンサーが2つある。ひとつは皮膚にあり皮膚の温度変化を感知するもの、もうひとつは脳の中で血液の温度を感知するものだ。サウナに入ると、この2つのセンサーは温度の上昇を脳の中枢に伝え、自律神経を通して血液循環の速度などを調整し体温を下げようとする。


参考文献4 【タナカカツキ×松尾大×加藤容崇】前編 サウナ室の時間、水風呂の温度 外気浴…。すべてに深い意味がある
https://diamond.jp/articles/-/232731:title=https://diamond.jp/articles/-/232731

僕らサウナーが、肌感で分かってること、たとえば、水風呂は16.5度が気持ちいい、みたいなことをいうと、加藤先生は、「人体にはTRP受容体という温度センサーが備わっていて、生命が危うい状態になると痛みとして現れるんだけど、それが16~17度付近だから、ギリギリの心地よさがあるんだと思うよ」とか、瞬時に解説してくれる。

*1:と書いていましたが、記事公開の6月7日現在、関東でも非常事態宣言が解除されました。サウナ、行きましょう。

*2:数入ればいいものでもないですが、5年ほど前にハマって以来多いときは週2で行っており今まで単純に200回以上は入っていると思われます。また北は青森から南は熊本までサウナ遠征もたまにしてますvv

*3:「サ道」2019年末SP-北の聖地でととのう-【テレビ東京オンデマンド】