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アンチ労働主義についてのメモ

アンチ労働主義を一言でいうと?

(実はまだかっちりした定義はありません。下に候補を示します。)

  • 巨大匿名掲示板に始まるインターネット上で新しい価値観や倫理観が形成されていく文化の中で勃興した、会社組織の中でなされる精神的・肉体的な暴力行為(「過重労働」「やりがい搾取」「パワハラ」…)を否定、あるいは可視化する一連の流れ。
  • 労働は美徳、また人間は労働しなければならないといった価値観の否定
  • さまざまな手段により人生の可処分時間(はたらかない時間)を増やす試みやそれにまつわる思想
  • 上記のクラスタの中で主張を同じくする人の集まり、またその「はたらかない技術」を共有するコミュニティ

どんな人がアンチ労働主義に向いていそうか

  • 毎日同じ職場に行き、同じ人と顔を合わせ、同じことをすると考えると耐えられない。自分には無理だと感じる
  • 働いて豊かになるイメージが湧かない。人生が労働によって良くなるということが信じられない
  • 人生の目的は、個人の夢の実現(自己実現)であり、労働はそのために必要である、また、個人のやりがいと労働を同一視する風潮に疑問を覚える
  • 「楽しい老後」や「学生のうちしか遊べない」といった風潮に疑問を覚える → 人生の全てを楽しく過ごせないのはなんで?
  • 個人がより自由に生きるための社会制度設計、みたいな話が好き
  • なぜ世の中は機械により便利になっていくのに、世の中から仕事は消えないのか、という根本的な疑問がある

インターネットにおけるアンチ労働主義の文脈

※以下、敬称略

外こもりクラスタ> 2000年代初頭〜2010年

・日本で短期的に働き、貯めたお金を持ってタイやカンボジアなどに滞在する。物価差を利用して労働時間を短縮する試み
・関連:日本で働き、東南アジアでダラダラ暮らす。低年収でもハッピーな“外こもり生活” | 日刊SPA!
バンコクのふくちゃんふくちゃん@伝説の外こもりすと (@supportasia) | Twitter
・古くは、「海外沈没組」とも言われた
・関連:日本を降りる若者たち (講談社現代新書)

ミニマリストクラスタ> 2000年代中盤〜今も

・生活を必要最小限とし、必要出費を最小にすることで労働時間を減らす試み。また労働にもコスト(精神的なコストも含む)が発生し、それにより本来であれば働くなくていい量まで働いてしまう(稼がなくていい金まで稼ぐことで可処分時間が減る)ことなども指摘。具体的にはシェアハウスなどにより住居コストを下げたり、せどりにより趣味をしながら路銀を得る方法なんかを提案する。
・「日本一有名なニート」ことpha. (@pha) | Twitter)が発祥だと思う。
ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法
しないことリスト (だいわ文庫)




<Bライフ/小屋暮らしクラスタ>2000年代中盤〜今も

ミニマリストと言えばミニマリストだが、都市で生活せず可能な限り自給自足生活をして(かつ現代の大量消費社会の恩恵を受けつつ)生活する手段を提案する。
・自作の小屋を作って年収100万円ほどで生活するスタイル=Bライフを寝太郎寝太郎🚴 (@mnetaro) | Twitter)が提案した。
自作の小屋で暮らそう: Bライフの愉しみ (ちくま文庫)
スモールハウス ──3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方 (ちくま文庫)

・以降、日本の労働者賃金が向上しない中、小屋暮らしクラスタは増え続け、またノウハウの共有や交流がありながら、SNSの1ジャンルとして定着した。
twitter.com


<反社畜クラスタ

これはまとまりというより下記の2人をまとめるために作ったクラスタ
海外ニート
 2000年代中盤、「ニートの海外就職日記」というブログがあり、元ニートであり海外でプログラマーという経歴を持つ海外ニート(ハンドル名)が、ブログ上で、日本の労働マンセー社会、労働者の自己犠牲精神、経営者の思い上がりを痛烈かつシニカルに批判した。テルマン的には、#アンチ労働主義 の発端だと思っている。海外ニートは「身の危険を感じ」たことを理由に現在ではブログは閉鎖され、有志が彼の言葉を呟くbotを作っている。
Twitter / Account Suspended


日野瑛太
 「脱社畜ブログ」の運営者。労働者の視点、また自身も短期的に経営者を経験した視点から、いわゆる日本のサラリーマン社会で遭遇しがちな「リベラルでないこと」に対する批判や対抗策を書き連ねる。著書多数。
脱社畜ブログ
脱社畜の働き方~会社に人生を支配されない34の思考法
あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。

<現在を生きるクラスタ

・今は上記の流れを汲みつつも、労働の否定に一辺倒というより、自分の特性(発達障害とかも含めて)を踏まえたより人間らしい生き方を模索する流れになっている気がする。以下、有名人を列挙。
・えらいてんちょう
・借金玉
・プロ無職るってぃ
・プロ奢らレイヤー
・レンタルなんもしない人

<未分類・その他>

・イケダハヤト:上記クラスタのハイブリッド型(という雑な説明w)
小飼弾ライブドアの前身会社の発起人の一人にしてカリスマプログラマー。読書家であり広い教養から、労働ありきの社会の否定、またベーシックインカムの必要性について論理を展開している。
働かざるもの、飢えるべからず。 だれのものでもない社会で、だれもが自由に生きる――社会システム2.0 (サンガ新書)
・ちきりん:元マッキンゼーでブロガー。また「採用基準」の人。意外だがベーシックインカムの支持者
高等遊民の人のブログ新・高等遊民の備忘録 


アンチ労働主義に言及する目的

  • 働くことにまつわる議論、特に幸福と労働の適切な付き合い方を整理していく
  • 個人として働かない方法の研究(手段、お金、コミュニティとの関わり、心構え)
  • 「はたらかない」を実現する技術がいくつかあるのでそれをキャッチアップする

アンチ労働主義PodCastのお知らせ

  • そんなようなことを話すPodCastを始めました。聞いてね。


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